福岡市動物園にて、動物福祉(アニマルウェルフェア)に配慮した動物展示や施設をつくるための研修をさせていただきました。飼育担当の方だけでなく、施設係や教育普及担当の方まで多くのスタッフさまにご参加いただき、動物の展示に対する関心の高さがうかがえました。研修では「施設づくりは組織づくり!持続可能な展示デザインを目指して」というテーマで2回実施し、1回目は座学、2回目は現場視察とグループワークを行いました。座学では、生きている動物を展示することの意味と目的について振り返った後、従来の「4つの役割」の捉え方やWAZA(世界動物園水族館協会)の「4つの戦略」を紹介し、施設・展示づくりにおいて重要な三者の視点(動物・管理者・来園者)について説明しました。展示デザインの持続可能性とは、つまり施設の維持管理能力のことを意味し、施設そのもの(ハード)と管理・運営(ソフト)の両面から検討する必要があることも伝えさせていただきました。現場視察では、特にトラ・ライオン、爬虫類、猛禽類、チンパンジー、ツシマヤマネコの飼育環境や展示における課題や残すべき良い点について伺いました。グループワークでは、視察させていただいたうち5つの動物種についてそれぞれグループを作り、動物の展示を通して伝えたいメッセージ、そのメッセージを表現するための展示アイデア、アイデアの実現に向けて動物福祉や飼育管理のうえで配慮するべきことを挙げていただきました。ここでは良い提案を目指すのではなく、アイデアや考えを共有することの大切さや難しさを実感することを要点としています。今回は各グループに飼育担当者のほか、教育普及係、施設係、獣医師、係長の皆さまにも入っていただきましたが、組織内で施設や展示の計画を行う際にはまずチームで取り組むことを推奨しています。そして、一人一人のアイデアをさまざまな立場の人が共有し、メリット・デメリットを整理しながら円滑な議論を進めていくために、ファシリテーターを置くことも重要です。本研修では、展示や施設をつくるためにはまずチーム(組織)づくりからということで、施設が主体的に動物園の未来を考えることのできる体制づくりの提案をさせていただきました。研修を行うにあたり、福岡市動物園の皆さまからは多大なご協力を賜りました。本当にどうも有難うございました!展示づくりや施設づくりに対する取り組み方やプロセスにご関心を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。