横浜商工会議所、横浜市環境保全協議会、横浜市の共催による企業向けのイベントで、横浜自然観察の森をフィールドにして、自然観察ワークショップと外来樹木の伐採作業を体験しました。最初に敷地内にある自然観察センターで、横浜自然観察の森の指定管理者となっている「公益財団法人日本野鳥の会」の方から生物多様性に関するレクチャーを受けました。侵略的外来生物である「セイタカアワダチソウ」の導入経緯や在来種への影響、ススキ等を食草とする「ジャノメチョウ」の事例などから、草地の維持の重要性とその対策について学びました。次に、フィールドに出て自然観察を行いました。今年7月の体験会でセイタカアワダチソウの除去作業が実施された場所では、順調にススキやクズが繁茂する一方で、施設内のいたるところでセイタカアワダチソウの群生が見られ、繁殖力の高さに驚かされました。また、生態系サービスとして人の生活に直接利用される、あるいは生物模倣として製品デザインのアイデアとなった草地の植物について観察をしました。最後に草地の維持対策として、外来種である「トウネズミモチ」、園芸用に植えられ管理されずに放置されてしまった「シャリンバイ」の伐採体験をしました。伐採後は、生い茂る樹木の枝で日陰になっていた場所に日光が当たるようになり、草地の再生が期待されます。生物多様性における「里地・里山」の役割今回参加させていただいたワークショップの中で、「里地・里山」というワードが出てきました。現在、弊社が動物展示コンサルティング業務として関わっている「アクアマリンふくしま縄文の里改修」においても福島の里山がキーワードになっているほか、これまで参加したいくつかの講演会やワークショップにおいても、二次林として森林を管理する日本特有の生態系保全手法である「里地・里山」の重要性が主張されていました。本来、里地里山として人が管理することで、人と野生動物それぞれの生息域について均衡が保たれていました。しかし近年、原生林と化した里山が増えたことによりそのバランスは崩れ、人里はおろか市街地にまでクマやイノシシなどの野生動物が出没するようになっています。今後、日本における生物多様性や生態系の保全について議論していくうえで、「里地・里山」という日本古来の持続可能な循環型の生活様式を再確認し、自然との関わり方をあらためて考えていく必要があると思います。